30代からの医学部学士編入合格への道

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医学部での勉強について

医学部医学科の学士編入を目指している皆さんだけでなく、一般受験を考えている皆さんも、医学部に入ってから、どのようなカリキュラムでどのような勉強をするのか、 気になっている方も多いのではないかと思います。両親や親戚に医師がいる人はある程度の話は聞き及んでいるかもしれませんが、 おそらくそうでない方が大半だと思います。ここでは筑波大学医学類の2年次に編入して以降、どのようなカリキュラムで医学を勉強してきたかを 僕自身の例をもとに紹介したいと思います。

まず学士編入者の5人だけで、2年次前期、後期に渡って基礎医学の6科目、つまり組織学、免疫学、生理学、生化学、薬理学、病理学を履修しました。 前期に3科目、後期に3科目ずつ、1科目週1のペースで講義を受けていました。

それとは別に臨床の講義がありました。 1学期は感染症と解剖実習です。感染症は全く基礎知識がない状態で、細菌、ウイルス、真菌、結核菌、抗酸菌、原虫、寄生虫についての細かい分類と それぞれの感染症について抗菌薬も含めて膨大な知識を身に付けなければならず、これは最初の大きな試練でした。 またゴールデンウィーク明けからはいよいよ解剖実習が始まりました。 1学年100人を4人ずつ25グループに割り振られ、各グループで1つの検体にメスを入れていくことになったわけですが、 最初は皆、白い布をかけられたご遺体の前で凍り付いていました。数え切れないほど臨終の場面を見てきた今現在の僕は人間の遺体を目の前にすることに 何の恐怖も感じないほどの強力な耐性ができていますが、当時は非常に恐ろしかったのを覚えています。 ホルマリン漬けされた遺体を前にして僕も凍り付いていましたし、実は医学部に入ったはいいものの、この瞬間が永遠に来ないでほしいとすら思ったほどです。 しかし医師を目指す以上、解剖実習を避けて通るわけにはいきません。ここが試練と心を強く持って実習に臨みました。 この解剖実習が2年次早々にあるため、筑波大学医学類の編入は2年次より後にすることはできないという事情があります。 解剖実習は人間の1つ1つの臓器を丁寧に剖出して、解剖アトラス(解剖の図鑑のようなもの)を見ながら、その位置と走行を確かめ、同定するという作業を延々と繰り返していくものです。 まず人間の表皮を薄くきれいにはがすところから始まり、血管、神経を切らないように、周囲の脂肪組織から丁寧に剥離して剖出していきます。 徐々に深部まで掘り起こし、1つ1つの臓器を剖出します。これを人間の全ての臓器に対して行います。 そしてこれが問題なのですが、それぞれの臓器の名前を日本語と英語またはラテン語で正確に記憶しなければなりません。 中間試問もあり、知識が身についているかを試されるため、ひたすら機械的で暴力的な暗記に徹する日々が続きます。 この頃になってくると既に人間の遺体を見ることへの当初の恐怖が全くなくなっていることに改めて気づきます。 とにかく1つ1つの臓器の名前を日本語と英語で正確に覚え、それぞれの筋肉を支配している神経の名前とその由来を正確に暗記しなければならず、 遺体が怖いだの何だのと言っている余裕はなくなっています。 この解剖実習はほぼ連日で、昼食後、午後早い時間から午後5時頃まであったと記憶しています。 こうして5月から6月の2か月に渡る解剖実習が終わると1学期の講義も終わりで、最後に期末試験があって、過酷な1学期が終わりました。

ところで、筑波大学の臨床教育の特徴は一般的な座学の講義に加えて、チュートリアルがあることです。 これは数人ずつのグループに分かれて、各グループに講師の先生がついて、その科目で重要な疾患に絞り、その疾患を持つ患者のシナリオが配布され、 1人の司会・進行役を決めて、そのシナリオをもとに何を考えるか、どのように臨床推論を進めるか、どのような検査を行うべきかを、 議論しながら進めるというものです。そして終了時には各自勉強してくるテーマを決めて、次回までに調べておいて、簡単に発表し、 さらに次に進むという流れで進んでいきます。その患者がどのような疾患にかかっていたかは最後に判明します。 このような形式で主体的に学習を進めることができるというメリットがありますが、学べる疾患が偏ってしまうというデメリットもあり、 その是非は色々議論されていました。

9月からは2学期ですが、ここからいよいよ本格的な臨床の講義が始まりました。 消化器(内科、外科)、循環器(内科、外科)、神経内科・脳神経外科の大きく3分野の勉強をしました。 消化器では消化管(咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門)、肝臓・胆嚢・膵臓の解剖と生理的機能について学び、 それぞれに対する疾患を学びました。小腸以外はいずれの臓器にも悪性腫瘍が一定頻度で出現するため、悪性腫瘍が重要なウエイトを占めます。 循環器では、心臓・血管の解剖と機能、心電図の成り立ちや基本的な波形の読み方などを学んだ後、 心不全の分類(左心不全と右心不全の違い)、心不全を来す基礎疾患、例えば虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、 僧房弁閉鎖不全症・逸脱症・狭窄症、大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、肺高血圧症、心房細動などについて、 特徴的な心電図所見と場合によっては心エコー所見、聴診所見、そして治療法などについて学びます。 循環器外科では先天性心疾患の占めるウエイトが高いのが特徴です。 また神経内科では神経解剖(大脳皮質・髄質、中脳、小脳、橋、延髄、脊髄など)と各臓器の働きについて学び、 各脊髄レベルでの断面図とそれぞれの神経の走行について覚えます。遠心路と求心路があり、触覚、温度覚、痛覚、位置覚、振動覚について、 伝達経路が異なっており、それらを正確に暗記することになりますが、これが結構曲者でした。 これが意外に覚えにくいからか、筑波大学ではこのためだけに実際に脳神経の解剖実習も組み込まれていたくらいです。 疾患としては、脳梗塞、パーキンソン病、多発性硬化症、多系統萎縮症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、ギランバレー症候群、Wallenberg症候群などが 主だったところでしょうか。脳神経外科では脳腫瘍(原発性・転移性)、脳膿瘍、下垂体腫瘍、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などだったでしょうか。

冬休みが明けてからは、呼吸器(内科、外科)、血液内科、内分泌代謝内科、内分泌外科(乳腺・甲状腺・副甲状腺など)の大きく3分野の勉強で、 同様の形式で進められました。呼吸器では呼吸器の解剖と呼吸生理、血液ガス分析の読み方、 肺癌の疫学と分類(扁平上皮癌、小細胞癌、腺癌、大細胞癌)、肺炎を始めとした感染症、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、 その他、様々な疾患について学習します。血液内科では血液検査の「血算」項目の読み方、白血球、赤血球、血小板が増加または減少する疾患、例えば白血病の細かい分類と特徴、リンパ腫、 貧血の分類、溶血、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、DIC(播種性血管内凝固)、HUS(溶血性尿毒症症候群)などの疾患を学習します。 内分泌代謝内科では、糖尿病(1型および2型)、糖尿病に関連したDKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、HHS(高血糖高浸透圧症候群)、乳酸アシドーシス、 甲状腺機能亢進症・低下症、副甲状腺機能亢進症・低下症、巨人症・末端肥大症、クッシング病・症候群、褐色細胞腫、尿崩症などについて学びます。 内分泌外科では甲状腺癌の分類と特徴、MEN T型・U型、副甲状腺機能亢進症の外科治療などについて学びます。

3年次1学期は、腎臓内科・泌尿器科、膠原病・リウマチ内科、皮膚科、婦人科、産科を履修しました。 腎臓内科では血尿や蛋白尿をきたす各種糸球体腎炎の細かい分類、例えば溶連菌感染後急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎(ANCA関連腎炎、MPA:顕微鏡的多発血管炎)、 IgA腎症、ループス腎炎、微小変化型などを病理組織と蛍光抗体法(IF)所見とともに学びます。ネフローゼ症候群の診断基準も重要ですし、common diseaseの糖尿病や高血圧症に 関連した糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症なども重要です。尿細管障害を来す疾患、その他様々な腎疾患を学びます。 泌尿器科では腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道、前立腺、精巣、睾丸などの疾患を学びます。尿閉と無尿の違い、水腎症、腎盂腎炎、前立腺肥大症、前立腺癌、尿管癌・膀胱癌、 尿管結石、精巣腫瘍、それぞれに対する外科的処置、化学療法も学びます。膠原病・リウマチ内科では、自己免疫疾患として抗核抗体の意義を理解し、 関節リウマチ、SLE(全身性エリテマトーデス)、多発性筋炎・皮膚筋炎、強皮症、MCTD(混合性結合組織病)、悪性関節リウマチと各疾患に特異的な自己抗体、 それぞれの皮膚所見について学びます。 婦人科では卵巣腫瘍の分類と治療がメインですが、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸癌、子宮体癌、不妊症の原因分類、 STD(性感染症)例えばクラミジア、淋菌、トリコモナスなどを学びました。

2学期は、小児科・小児外科、眼科、耳鼻科、整形外科、麻酔科・救急科を履修しました。 小児科で最も重要なのは小児は大人のミニチュアではなく、全く異なる生命として理解する必要があるということです。 そして正常の小児の成長の過程をしっかり理解し覚えることが小児科理解の第一歩です。その上で、様々な疾患を理解していきます。 小児科は他の科目に比べて覚えることが膨大で結構大変な科目でした。 眼科では目の解剖(外眼筋も含めて)と各部位の働きを理解し、近視、遠視、乱視、斜視について理解します。 網膜を構成する色素細胞も色々あり、その層の名前を順番に正確に覚えた記憶がありますが、すっかり忘れてしまいました。 疾患としては色々ありますが、糖尿病性網膜症、緑内障、白内障、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、加齢黄斑変性、網膜色素変性症、角膜ヘルペスなどが 比較的重要な疾患で、疾患概念とともに理解し記憶しました。

3学期は、精神科、法医学、病理学(アドバンス)を履修しました。 精神科のヤマは、やはり統合失調症とうつ病が2大疾患で、神経症領域(不安神経症、強迫性障害、パニック障害、パーソナリティ障害など)、 アルコール依存症、その他、認知症、例えばアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症 (以前はピック病と言われていました)、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳性麻痺なども精神科の領域でした。 法医学は特殊な分野で、解剖の種類には司法解剖、行政解剖、病理解剖の3種類があること、そしてそれぞれの特徴について学びます。 死後の死体の変化、例えば死後硬直、死斑、直腸温、角膜混濁などの所見、死体検案書と死亡診断書の違いなどを学びます。 この分野はややデリケートな単語や表現が含まれるので、詳細な説明は割愛します。

以上で臨床科目の全ての履修が終わりました。

学期末には各科目毎に試験があり、その出来によってA(優)、B(良)、C(可)、D(不可)という成績が付けられます。

4年次1学期は、臨床実習の前のCBT, OSCEというテスト前の総復習としての講義が続きました。 CBTというのは臨床実習に出る前の仮免許のための試験で、ミニ国試という位置づけです。 そしてOSCEというのは臨床実技試験で、シナリオを渡されて模擬患者に対して医療面接や診察を行ったり、 身体診察の所見を述べたり、急変患者への対応(BLS)などを行い、基礎的な臨床実技が備わっているかどうかを見るための試験です。

この2つの試験に合格すれば、晴れて臨床の現場に出て実習を行うことができます。 この試験はまず落ちる人はいない比較的優しいものですので、心配は必要ないです。 こうして、筑波大学では4年生の夏休み明けから臨床実習が始まります。 臨床実習が始まる時期は大学毎に異なっており、一般的には5年生から始まる大学が多いそうですので、 筑波大学はかなり進度が速いということになります。 その分、短期間で臨床科目の基礎的知識を詰め込まなければならないのですが、 医学部に入る前に話に聞いて予想していたのと比べれば、勉強は決して大変ではありませんでした。 周囲の学生たちも部活にアルバイトに遊びにと決して勉強一筋ではありませんでしたが、それでもほとんど学生は留年することなく余裕綽々で乗り切っていました。 筑波大学の一般学生は総じて優秀で要領もよいと思いました。

臨床実習に出る前のCBTとOSCEの2つの試験については項を改めて説明したいと思います。

 

 
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